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医療向け人事評価システム導入に適用される補助金・助成金

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人事評価システムは医療機関の業務効率化や人材育成に役立つ画期的なツールですが、導入費用がネックになるケースも少なくありません。費用負担を軽減したい場合、補助金・助成金を活用する手段があります。

医療機関が活用できる主な補助金・助成金制度と、活用時のメリットや注意点、申請から採択までの流れを解説しているので、導入を検討している方は参考情報としてご活用ください。

医療機関向け人事評価システムと
補助金・助成金の関係性

「人事評価システムの導入」という名目で用意されている補助金・助成金は存在しません。なぜ補助金・助成金制度を活用できるのか、その仕組みと医療業界で活用が広がっている背景を解説します。

導入時に
補助金・助成金を活用できる理由

国が提供する補助金・助成金の多くは、「中小企業のDX推進」や「労働環境の改善による生産性向上」といった、大きな政策目的を達成するために設計されています。

人事評価システムは、紙やExcelで行っていた評価業務をデジタル化し、管理部門や管理職の業務負担を大幅に軽減するDXツールになります。

公平で透明性の高い評価制度の運用は、職員のエンゲージメントを高め、人材育成や定着を促進します。これは「働きがいのある職場づくり」に直結するため、国の目指す方向性と合致し、支援制度の対象となり得るのです。

医療業界で人事評価システムの
活用が広がっている背景

医療業界では、2024年4月1日から医療従事者の労働時間に関する規制が厳しくなりました。少子高齢化による深刻な人材不足も喫緊の経営課題となっています。

限られた人員で質の高い医療を提供し続けるためには、業務の効率化が不可欠です。採用難が続く中でも、既存職員の離職を防ぎ、エンゲージメントを高めるための施策が求められています。

こうした背景から、人事評価システムを組織課題解決のための戦略的ツールと位置づけ、国の支援制度を有効活用して導入に踏み切る医療機関が増えているのです。

人事評価システム導入時に
医療機関が活用できる補助金・助成金

制度ごとに目的や対象経費、申請要件が異なるため、自院の状況や導入の目的に合う制度を選択することが大切です。公募要領は更新されるため、申請前には必ず各制度の公式サイトで最新情報をご確認ください。

IT導入補助金(中小企業庁管轄)(※)

ITツール導入による生産性向上を支援する補助金です。人事評価システムは、バックオフィス業務の効率化に貢献するITツールとして、「通常枠」の対象となります。補助の対象となる経費は、ソフトウェアの購入費クラウドサービスの利用料関連する導入サポート費用など。

申請する際は、事務局に採択された「IT導入支援事業者」とパートナーシップを組み、共同で作成した事業計画の提出が必要です。主な対象は中小企業等ですが、職員数・資本金によっては中堅規模の医療法人でも申請可能なケースがあります。

※参照:中小企業庁「IT導入補助金2025」の概要
https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/yosan/r7/r6_it_summary.pdf

業務改善助成金(厚生労働省管轄)(※)

事業場内の最低賃金を引き上げる事業主に対して、生産性向上につながる設備投資費用を助成する制度です。最低賃金の引き上げと併せて、業務効率化の目的で人事評価システムを導入する場合、対象になる可能性があります。

助成の対象となる経費は、人事評価システム導入に関する設定費や研修費など。本制度は中小企業等(常時雇用労働者数100名以下または資本金が5,000万円以下)が対象となるため、医療機関だと個人診療所や中小規模のクリニック・病院が対象となります。

キャリアアップ助成金
(厚生労働省管轄)(※)

非正規職員(有期契約・パートタイム・派遣社員など)に対して、企業がキャリア形成や正規雇用化を支援する取り組みを行った場合に、その費用の一部を助成する制度です。

人事評価システムの導入費そのものは原則として助成対象外です。ただし、評価制度の設計コンサル費、就業規則・賃金規程の改訂費、評価者や運用担当者の研修費、制度説明会の開催費などの関連費用が助成対象となる可能性があります。申請は社会保険労務士の支援を受けるとスムーズです。

※参照:厚生労働省「キャリアアップ助成金」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/part_haken/jigyounushi/career.html

事業再構築補助金
(中小企業庁管轄)(※)

中小企業の構造改革・新事業創出を支援する補助金制度です。人事評価システム単体の導入だけでは採択されにくいため、「DX投資を伴う事業再設計」の一部として位置づける必要があります。

対象となるのは「収益事業」を行う法人・事業者。医療機関の場合、自由診療を行うクリニックが該当します。補助額が大きい一方で、事業計画の策定ハードルが高いため、認定経営革新等支援機関などの専門家と連携して準備を進めることが不可欠です。

※参照:経済産業省「事業再構築補助金」
https://www.meti.go.jp/covid-19/jigyo_saikoutiku/index.html

医療機関における補助金・助成金の
活用メリット

補助金・助成金を活用するメリットは、単に費用負担が軽減されるだけではありません。資金計画や院内の合意形成といった、経営上のメリットも期待できます。

コストを理由に妥協せずに済む

医療機関は、診療報酬改定など外部環境の影響を受けやすいため、必ずしも投資余力が潤沢ではない場合があります。補助金・助成金を活用すれば、自己資金の持ち出しを抑えられるため、本来であれば導入が難しかった高機能なシステムや、手厚いサポート付きのプランを検討できます。

コストを理由に妥協することなく、自院の課題解決に適切なシステムを選べるのがメリットです。

経営判断の裏付けとして活用できる

補助金・助成金の申請プロセスでは、「システム導入が必要な理由」や「導入によって得られる効果」を具体的な数値に落とし込み、事業計画書を作成・提出する必要があります。

無事に採択された場合、「事業計画の妥当性や将来性」が客観的に認められた証とも言えるため、経営判断の裏付けとして活用することが可能。理事会や院内の職員に対して導入の必要性を説明し、合意形成を図る上で強力な説得材料となるでしょう。

医療機関における補助金・助成金
活用時の注意点

制度の認識不足や準備不足によって、審査対象から除外される、支給額が減額される、支給後に一部返金を求められるなどのトラブルが発生するケースがあります。準備・申請を進める際は下記のポイントを押さえて、トラブルを未然に回避しましょう。

  1. 対象要件・業種区分を事前に確認する
  2. 対象経費の範囲を明確にする
  3. 補助金・助成金の最新要件を把握する
  4. システム導入と申請から採択までのスケジュールを合わせる
  5. 事業実施後の報告義務を守る

医療機関が補助金・助成金の
採択率を高めるポイント

採択率を高めるには、導入の目的や院内体制、事業の実現可能性を審査側に的確に伝える準備が重要です。

申請段階で院内関係者の合意を済ませておくと、審査時に評価されやすくなります。導入効果の見込みは、「人件費を月10時間分削減見込み」などの定量的な根拠で示しましょう。

また、過去の採択事例に即した記述やキーワードを意識して申請書を構成すると、より採択の可能性を高められます。

医療機関における補助金・助成金
申請から採択までの流れ

補助金・助成金の一般的な申請プロセスを解説します。活用する制度の種類によって、申請から採択までの手順は異なるため、申請する際は必ず各制度の公式サイトをご確認ください。

公募スケジュールの確認と事前準備

活用を検討している制度の公式サイトにアクセスし、「公募要領」を熟読して申請期間(締切日)を正確に把握します。公募期間が短い制度も多いため、スケジュールに余裕をもって事業計画の骨子を作成し、必要となる書類の準備を進めておくことが大切です。

また、医療法人の種別や従業員数、資本金などが、そもそも補助対象の事業者要件を満たしているかどうかも、この段階で必ず確認しておきましょう。

補助金・助成金の申請手続き

中小企業庁管轄の補助金は、デジタル庁が運営する「jGrants」(※)という政府のシステムを利用して、電子申請するのが主流です。利用するには「GビズIDプライム」というアカウントが必要になります。アカウントの発行には数週間かかる場合もあるため、早めに申請しておきましょう。

厚生労働省管轄の助成金は、ハローワークや労働局への紙申請、e-Govや独自フォームによる電子申請など、制度によって申請方法がバラバラです。活用したい制度の公式サイトで、申請方法や所定の申請書様式をご確認ください。

※参照:jGrants
https://www.jgrants-portal.go.jp/

認定経営革新等支援機関や
社会保険労務士への相談

補助金制度の中には、金融機関や税理士、中小企業診断士といった「認定経営革新等支援機関」(※)の確認を申請要件としているものもあります。申請手続きは複雑なため、申請要件に含まれない場合も専門家と認識をすり合わせておいたほうが良いでしょう。

厚生労働省が管轄する助成金は、代理申請を依頼できるのが社会保険労務士のみ。制度に関する豊富な知識を持ち、事業計画のブラッシュアップも支援してくれます。

※参照:中小企業庁「認定経営革新等支援機関」
https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/kakushin/nintei/

システム導入時に活用できる
補助金・助成金まとめ

人事評価システムは、医療機関のDX化や働き方改革に貢献するため、事業・雇用に関する様々な補助金・助成金を活用できる可能性があります。制度ごとに目的や要件、対象経費が大きく異なるため、自院の課題や導入目的とより親和性の高い制度を見極めることが大切です。

人事評価システムは
自院の目的に適ったものを

「スタッフの頑張りを見える化したい」「主観的な評価から脱却したい」――。クリニック・病院で人事評価を導入する目的はさまざまです。

当メディアでは、制度づくり・マネジメント・評価データの活用という3つのフェーズに合った「医療向け人事評価システム」を厳選紹介。自院の目的に合った人事評価システム選びの参考として、ぜひご活用ください。

制度づくりから活用まで 医療向け人事評価システム3選